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徳島地方裁判所 昭和42年(ワ)368号 判決 1971年8月31日

原告

野村保治

被告

高知三菱自動車販売株式会社

主文

一、被告は原告に対し金八二九、六二〇円およびこれに対する昭和四二年一二月一二日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二、原告その余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを三分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

四、この判決は第一項に限り金二〇万円の担保を供するときは仮りに執行することができる。

事実

第一、申立て

一、原告

(1)  被告は原告に対し金一、三八〇、九六四円およびこれに対する昭和四二年一二月一二日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(2)  訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告

(1)  原告の請求を棄却する。

(2)  訴訟費用は原告の負担とする。

第二、主張

一、原告の請求原因

(関係人の地位)

(一) 被告会社は自動車販売等を業とする会社で、商号をもと高知新菱自動車株式会社と称していたが、昭和四一年一〇月一日現商号に改称したものである。

(二) 原告は昭和三九年一二月当時、被告会社徳島支店の従業員として自動車販売(セールス)の業務に、また訴外伊勢耕三は同会社の自動車販売員(セールスマン)兼自動車運転者として、被告会社保有の自動車運転にそれぞれたずさわつていた。

(本件事故の発生)

右伊勢は昭和三九年一二月一六日午後八時三〇分ごろ、被告会社保有の普通貨物自動車(三菱コルト一〇〇〇、ライトバン、臨時番号徳第五五六号―以下本件事故車という)の助手席に原告を同乗させ、前記自動車販売業務のため、右車を運転し、徳島県板野郡吉野町柿原高畑所在の阿波中央橋上を時速約四〇粁で南進中、対向車の前照燈に眩惑されて、一時前方注視が困難な状態になつたが、このような場合運転者としては最徐行をするか、一時停止をするなど、安全運転をなすべき注意義務があるにもかかわらず漫然同一速度で進行をつづけたため、たまたま右橋上の工事個所にそれを保護するため高さ約〇・三米、長さ約二・三米にわたり積み重ねてある板材をその手前約九米に迫つて発見し、急停車の措置をとつたが間に合わず、右板材に事故車を乗り上げ約一米前方に跳躍させ、よつて、原告はその際の衝撃により頭部を車体の上部に激突させ、胴、腰部をも強打したため、加療約一年六月余を要する頭部外傷後遺症、外傷性脊椎炎等の傷害を蒙つた。

(被告の帰責事由)

本件事故は被告会社のために事故車を運行中に生じたものであるから、被告会社は自賠法三条に基き原告が右事故により蒙つた損害を賠償する義務がある。仮りに然らずとしても、本件事故は被告会社の被用者である伊勢が被告会社の用務にさいし生ぜしめた不法行為であるから、被告会社は民法七一五条に基き損害賠償義務がある。

(損害)

原告の蒙つた損害は次のとおりである。

(一) 治療費、交通費など 合計三六四、四六四円

原告は昭和四〇年一月二二日から同年二月一八日まで徳島市内町福田整形外科に、同年二月二〇日から翌四一年一月二二日まで阿南市医師会中央病院にそれぞれ入院し、翌二三日から二月三日までは右病院に通院し、翌四日から五月六日まで阿南市の藤井病院に入院し、同日退院後一カ月間右病院に通院して治療を受け、また本件事故に関する警察の取調べに応じ出頭し、その間左のような出費をした。

(イ) 期間 昭和四〇年一月二二日から昭和四一年二月三日までの間

1 通院等交通費(警察の取調べに応じ、出頭するに要した費用を含む) 一八、〇四〇円

2 コルセツト代 五五〇円

3 あんま機(電気バイブレーター)購入 三、五〇〇円

4 保健薬 二、八〇〇円

5 マツサージ治療費 四〇〇円

6 個室入院費負担金(これは保険対象外) 一、八三〇円

7 子守代(原告の入院中、妻がその看病に附添つたので原告の二児のため子守りを雇入れたその賃金) 二三五、〇〇〇円

以上二六二、一〇〇円(二〇円切捨て)

(ロ) 期間 昭和四一年二月四日から治療終了まで

1 治療費(藤井病院分。なお、他の二病院分は弁済を受けたから請求しない) 八七、三六四円

2 諸経費 一五、〇〇〇円

以上一〇二、三六四円

(二) 休職等によつて得べかりし利益相当額 合計八六六、五〇〇円

原告は前記受傷のため、昭和四〇年一月から翌四一年五月まで休職な余儀なくされ、同年六月から九月までは出勤したが外勤(セールス)の業務を十分なしえず、左の得べかりし収入を喪失した。

(イ) 期間 昭和四〇年一月から同年一二月まで 五二一、〇〇〇円

給与 四六八、〇〇〇円

(イ) 固定給(月)二二、〇〇〇円(三九年の額一九、〇〇〇円に四〇年一月にあるべき定期昇給分三、〇〇〇円を加算したもの)

(ロ) 販売手当(月)一七、〇〇〇円(過去の実績から推算)

賞与 一一〇、〇〇〇円

(六月と一二月にそれぞれ固定給の二カ月分、三カ月分)

控除分(同年一月ないし三月に受給した旧固定給三カ月分) 五七、〇〇〇円

(ロ) 期間 昭和四一年一月から五月まで 二一二、五〇〇円

給与

(イ) 固定給(月)二五、五〇〇円(前年度額に四一年一月にあるべき定期昇給分三、五〇〇円を加算したもの)

(ロ) 販売手当(月)一七、〇〇〇円

(ハ) 期間 昭和四一年六月から九月まで 一三三、〇〇〇円

前記能力減少(出勤はしたがセールス業務を十分なしえなかつたこと)なかりせば得べかりし利益 八二、〇〇〇円

(イ) 通常支給を受くべき給与(月) 四二、五〇〇円

(ロ) 現実の受給額(月) 二二、〇〇〇円

(ハ) 差額(月) 二〇、五〇〇円

賞与 五一、〇〇〇円

同年六月に支給を受くべき固定給二五、五〇〇円の二カ月分

(三) 慰謝料 五〇〇、〇〇〇円

本件事故後被告会社の上司は原告に対しきわめて冷淡であつた。原告は本件事故後頭部の痛みを覚え、その痛みは次第に増し、腰と足に痺れを強く覚えるようになつたが、会社の用務多忙のため、それに堪え勤務を続けていた。しかし、症状は一向に回復しないので堪えかね前記治療を受けることとなつたもので、この治療中も頭、首、背、腰の各部の痛みは強く、遂には心労のあまり精神病に近い症状を呈するに至り、その肉体的精神的苦痛は甚大であつた。のみならず、原告の妻はかねてより自宅において機械による編物等の仕事をしていたが、原告の受傷後はその看護のためこれを中断し、それによる収入は望めなくなり、このことが家計にも影響するところとなつて、とかく家庭内に争いが絶えず、この点でも原告の心痛一方ならぬものがあつた。

これら原告の欠勤による経済的圧迫からくる焦燥、受傷による肉体的、精神的苦痛、病気に対する不安感など諸搬の状況を総合して考えると、その慰謝料は五〇万円をもつて相当と考える。

(結論)

よつて、原告は被告に対し右損害金合計一、七三〇、九六四円のうち既に支給を受けた労災保険金五万円。自賠責保険金三〇万円を控除した金一、三八〇、九六四円およびこれに対する本訴状送達の翌日である昭和四二年一二月一二日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二、被告の答弁

(認否)

(一) 請求原因第一項(関係人の地位)の事実中、訴外伊勢耕三が被告会社の「自動車運転手」であつたことは否認し、その余の事実は認める。

(二) 同第二項(本件事故の発生)の事実中、本件事故の原因及び原告が胴、腰を強打したことは不知、同人が主張するような後遺症の傷害を負つたことは否認するが、その余の事実は認める。

(三) 同第三項(帰責事由)、第四項(損害)の事実は争う。

(主張)

(一) まず、被告会社と原告及び伊勢との関係は原告主張のような単純なものではない。すなわち、原告と伊勢はともに被告会社のセールスマンではあるが、ここにいうセールスマンとは一方被告会社から毎月一定の固定給を受けて、被告会社の自動車販売事業に従事しているが、他方販売出来高に応じて一定率の報酬を受けることを被告会社と約しているものである。したがつて、原告ならびに伊勢は固定給を受ける点では被告会社の従業員であり、右定率の報酬を受ける点では請負類似の仕事をする者で、右セールスの仕事は原告らのためにする同人らの独自の業務でもある。

(二) ところで、訴外伊勢は本件事故発生当日本件事故車を運転し、これと同種の自動車を販売する目的で徳島県板野郡藍住町の得意先へ行く途中であり、また原告も同じ目的をもつて、同県麻植郡鴨島町の得意先へ見本品である本件事故車を見せに行くところであつた。

したがつて、本件事故車は原告および伊勢が同人ら固有のしかも共同の業務(セールス)のために被告会社から借り出したもので、被告会社は自賠法二条後段にいう保有者でなく、原告および伊勢こそ右保有者であり、同法三条の運行供用者である。仮りに被告会社が右運行供用者に該当するとしても、本件事故車の運行は前述のように原告らの共同のセールスのためであり、また被告会社が特に伊勢を運転者に指定したわけではなく、伊勢の運転は何ら被告会社の慣行、規則等によつたものでもなく、伊勢が運転し、原告が助手席に同乗したことは、たまたま両名の明示あるいは黙示の合意によりそうなつたに過ぎない(両名とも運転免許がある)。このような関係のもとでは、原告は自賠法三条にいう「他人」にあたらない。以上、いずれにしても、被告会社は自賠法三条の責任を負わない。

(三) また、原告と伊勢の本件事故車の共同運行は第二次的には被告会社の事業執行ではあつても、第一次的には専ら両名固有の業務(セールス)の執行であるから、直ちに本件事故が被告会社の業務執行中のものとはいえないから、被告会社が本件事故について民法七一五条の責任を負ういわれはない。仮りに然らずとしても、原告は同法条にいう「第三者」でないこと。前記(二)で主張したことにより明らかである。以上、いずれにしても、被告会社は民法七一五条の責任もない。

第三、証拠〔略〕

理由

第一、(被告会社の自賠法三条による責任の存否について)

一、訴外伊勢耕三が原告主張の日時場所において事故車を運転中、原告主張のような障害物乗り上げ事故が発生し、折から助手席に同乗していたことは当事者間に争いがなく、また〔証拠略〕によれば原告が頭部を車体上部に激突し、胴、腰を強打したことが認められ、他に反証はない。

二、次に、被告会社が右事故車の運行供用者であるか否かについてみるに、〔証拠略〕を綜合すると本件事故車(三菱コルト一〇〇〇ライトバンデラツクス)は自動車販売会社である被告会社において販売すべき商品自動車(新車)であつて、本件事故当時は臨時運行の許可を受けて(道路運送車両法三五条参照)顧客の求めに応じあるいは購入方法を勧誘するため展示すべき適当な場所へ移動させることを目的としていた車で本件の場合もまさに右目的のために被告会社のセールスマンである伊勢がこれを運転していたものであることが明白で、他に右認定事実を左右する証拠はない。そうすると、本件事故車の運行を支配し、運行による利益を受けていた者は被告会社にほかならないから、同社は自賠法三条の「運行供用者」に当る。

被告は、伊勢耕三は同社のセールスマンである反面販売高による歩合の支給を受けている点では請負類似の同人固有の職務を行うもので、本件事故車は同人が右歩合による報酬を得るため、すなわち同人固有の業務遂行の用に供すべく被告会社から借り出したものであるから、被告会社は、「運行供用者」でない旨主張するが独自の見解で採用し難い。〔証拠略〕によれば被告会社がセールスマンの給料について固定給、歩合制の二本建てをとつていることは認められるが、それは給与額算出方法にすぎず、歩合制を加味しているの一事をもつて、直ちに被告会社の本件事故車運行供用者たる地位を否定することができないことは明らかである。

三、そこで、次に本件事故態様において、果して原告が自賠法三条にいう「他人」に該当するかどうかについて検討する。

原告も伊勢と同じく被告会社のセールスマンであつたことは当事者間に争いがない。しかして、〔証拠略〕によれば、伊勢は当日藍住町の顧客が車を買いたいという連絡があつたので、本件事故車を見せて、購入の勧誘をすべく本件事故車を運転して行つたものであるが、偶々原告が以前から右顧客を知つていた関係で、被告会社の徳島支店長宮地茂の指示もあつて、原告をも同乗させ応援させたものであること、原告ならびに伊勢はともに職業柄自動車運転免許を持つていたが、このさい被告会社から特にいずれが運転していくべきか指示した形跡はなく、たゞ前記のような経緯上(伊勢が主で、原告は応援であつた)伊勢の方が運転したものであること、原告は車中助手席に坐つてはいたが、運行については伊勢にまかせきりで、特段運転について同人に指示を与えたりする立場にはなく、現に事故のさいもうろうと仮眠のような状態でいたこと、以上の事実が認められ、他に反証はない。

右事実関係によれば、原告は本件事故車の運行によつて身体を害された「他人」であると認めるのが相当で、原告が被告会社の従業員であり、かつ被告会社のため同乗中であつたという事情も右判断の妨げとなるものではない。当該事故車の運転者が右「他人」には含まれないことはもちろん(最判昭和三七年一二月一四日民集一六巻一二号二四〇七頁)、たとえ、当人が現実には事故車を運転せず、助手席に坐つていたに過ぎない場合でも、当該運転手の運転を横で指導する等運転手としての地位を離脱していないような状況にある時は、場合によつては、これを「他人」と言い難い場合もあることは否みえないが(最判昭和四四年三月二八日民集二三巻三号六八〇頁)、前記認定事実によれば、本件事案をこのような例外的場合と解することは困難である。この点に関する被告の主張も採用することができない。

四、よつてすすんで原告主張の受傷ならびに本件事故との因果関係につき判断するに、〔証拠略〕によれば、原告は本件事故直後は特段の異常も覚えず、やゝ無理とは思いながらも、仕事専一に考えて、出勤を続けていたが、その後約三週間後の昭和四〇年一月一〇日頃になつて背中、頭の痛みを感じはじめ、専門医の診断を受けたところ、その頃福田整形外科病院では外傷性脊椎炎、頭部外傷後遺症と、阿南医師会中央病院では頭部外傷性後遺症、外傷性神経症(他にキユンメル氏病、根性座骨神経痛もあり)と診断されるに及んだこと、交通事故の場合、その傷害による症状が即座に出ることなく、暫らく間をおいて、顕れはじめることもまゝあること、本件の場合、原告は前記症状が本件事故に因るものであることを当局に認められた上、労災保険の支給を受けたこと、以上の事実が認められ、右認定事実並びに弁論の全趣旨を綜合すると、原告は本件事故に因つてその主張のような傷害を蒙つたと認めるに十分である。(但し、後記損害額認定にさいし、その因果関係の相当性を認めなかつた点はその限りにおいてこれを除外する)。

〔証拠略〕によれば、原告の傷害は本件事故によるものとは思われない。それまでもよく腰が痛いと言つて休んだことがある旨の記載、供述があるが、前掲各証拠に照らし措信せず(なお、甲第一〇号証添付の原告の昭和三九年度出勤状況表によつても原告が特段病気による連続欠勤をしたとは認め難い)、他に右判断を左右すべき事情は認められない。

五、そうすると、被告は自賠法三条に基き原告に対し本件事故によつて生じた損害を賠償する義務がある。

第二、(損害)

(一)  治療費および交通費など 二〇七、一二〇円

〔証拠略〕によれば原告が前記受傷などにより別表(一)の治療費および交通費など計二〇七、一二〇円の損害を蒙つたことが認められる。子守代はその幼児の年令(昭和三七年一月一八日生と同三八年一〇月七日生)なども考え合わせ、昭和四〇年二月から一年間の経費一八万円をもつて相当損害金であると認める。

(二)  逸失利益 四七二、五〇〇円

〔証拠略〕によれば、原告は前記受傷のため昭和四〇年一月から昭和四一年一月まで休職したこと、原告の勤務状況は普通で事故なかりせば月一九、〇〇〇円の固定給および月平均一〇、〇〇〇円を下らぬ販売手当(前年度三月から一二月までの実績の平均を控えめに見たもの、甲第一一号証の二参照。いわゆる歩合給)を得、また賞与は年二回で年間を通じて月収の四カ月分であつたこと、被告会社では固定給の定期昇給が年一回、毎年一月にあり、昭和四〇年度は三、〇〇〇円同四一年度は三、五〇〇円であつたこと、原告は前記休職中被告会社から昭和四〇年の一月ないし三月分の固定給合計五七、〇〇〇円を受給していることがそれぞれ認められ、右認定に反する証拠はない。

そうすると原告が前記休職期間中に得べかりし収入は別表(二)のとおり金四七二、五〇〇円となり、原告は本件事故により右収入の喪失を余儀なくされたものといわなければならない。

(三)  原告は本件受傷による損害として、(イ)昭和四一年二月四日から同年五月六日までの間阿南市藤井病院で治療を受けたさいの治療費、諸経費ならびに、(ロ)同年二月から同年九月まで休職せざるをえなかつたことにより喪失した利益を主張しているが、右時期における原告の出費または利益喪失が本件事故と相当因果関係にあるとは認め難いので、右請求部分は失当である。すなわち、〔証拠略)を綜合すると、原告は当時本件事故とは別に、夫婦仲が悪く、妻から離婚話しも出る状況で、とかく家庭生活の円満を欠き、妻からみるとその精神上の異常ありとみえ、同女の意思で藤井病院(精神科)に無理矢理入院したものであること、労災保険は昭和四一年二月に既に打切られていること、以上の事実が認められ、右事実によれば、前記期間における原告の精神上の疾患を本件事故と相当因果関係あると認めるのは困難である。

(四)  慰謝料 五〇〇、〇〇〇円

以上認定の事故の態様、受傷の程度、加療機関および〔証拠略〕により認められる以下の事実、すなわち、被告会社は本件事故発生後、原告の受傷等に対して、その事故との因果関係を疑いの目でみるのみで、原告の精神的、肉体的苦痛に何らの理解を示すことがなかつた事実および諸般の事情を綜合すると原告が被告会社に請求しうべき慰謝料は五〇万円を下らないものと認めるのが相当である。

第三、(結論)

そうすると、被告は原告に対し右損害額合計一、一七九、六二〇円から原告が受領したと自認する保険給付額合計三五万円を控除した八二九、六二〇円とこれに対する本件事故の発生後であることの明らかな昭和四二年一二月一二日から支払いずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

よつて、原告の本訴請求は右の限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九二条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 畑郁夫 葛原忠知 岩谷憲一)

別表(一)

<省略>

別表(二)

<省略>

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